岸惠子さんの著書を初めて読みました。
本の帯にもある通り、自伝と言うよりは、ちょっとしたエッセイを読んでいるような気分になる一冊です。
ジェットコースターに乗っているような人生。
1932年生まれなので、今年88歳。
先日徹子の部屋に出演されているのを拝見しましたが、もっとずっと若く見える方です。
草笛光子さんも同じようなタイプの方だと思いますが、その年齢とは思えないぐらい美しい。
日々の生活を大切に、自分の美しさにも気を配り、
常に見られる側の人として日々を過ごしてこられたことが伝わってきます。
女優としての作品はほぼ見ていないのですが、
戦後話題になったドラマ「君の名は」の「真知子巻き」をしていた方が岸さんだと言うことを知って驚きました。
(ちなみに相手は中井貴一さんのお父さんの佐田啓二)
歴史上の人物になりかねないなりかねないレベルの方ですが、
今でもこうやって書籍を今月発行されているというのは頭が下がります。
女優というフィクションの世界から、50代以降はイランやイスラエル、アフリカなどの
ノンフィクションの世界へ身を投じて行かれる様子が描かれています。
自分がこれだと思うところに突き進んでいく人生を送られてきた事は、素敵だなと思います。
前のご主人の映画監督のイヴ・シァンピ氏とはさんとは映画の撮影を通じて結婚されたそうで、
1950年代に日本がまだ海外との行き来が仕事以外で認められていない時期に、
結婚を決めてフランスに飛び立たれる様子の辺りはとても気分が高揚する場面でありました。
その後、彼との別離があったりしますが、子供さんを通じて交流を続け、円満な関係を築いていかれていたように感じました。
アフリカへの取材など、危険を感じつつも、信念を持って進んでいかれるところは、圧倒されました。
娘さんは、そんなお母さんを見て、反面教師なのか、現実的な考え方であしらっていたり、サポートしていたり、
うまくバランス取れた親子だなと思いました。
男性が優位で女性が下に見られる時代の中で、しっかりと自分を主張しながら生きてこられた姿がすごいなと思います。
日本でも海外でも扱いが自分の意図とは反する場合も、凛としている姿に協力者がどんどん増えていく様子が、目に浮かぶようです。
がんばろうとすれば、足を引っ張る人がいたり、
自分の知らないところで良かれと思っていたことが、うまくいっていなかったり、悔し思いもたくさんされてきたと思います。
それでも前を向いて私から歩いていかれる様は勇気づけられました。
文中では、自由な人生を送られていた分、娘さんとの距離を感じる時期があったり、
お孫さんができたときに理想の家族の形を求めて、過剰に思いを入れてしまう自分に気づき、
距離を置く選択をしたことも描かれていました。
そして自分自身のキャリアを一つずつ積み上げていき、80になって恋愛小説を書くことができる。
自由な発想で、88歳の今でも現役でお仕事を続けられていることをに驚かされます。
40歳も歳の上の方がこうやって元気でいらっしゃる事は、
私も、まだまだ仕事もやりたいことも、どんどん続けていくことができるという勇気をいただいています。
読む前は女優の方が書かれた自伝だから、どうかなと思っていたのと、
337ページと結構のボリュームがありましたが、久しぶりに厚めのハードカバーの1冊をあっという間に読み終えることができました。
(岸さんの著書は10万部を超えているものも多数あるそうです。びっくり)
現状がが苦しくて辛い思いをされている方は、元気や勇気をもらえると思います。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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